国税庁はこのほど、同庁のホームページで「国税スマートフォン決済専用サイトへのアクセス方法の集約化」を公表した。「国税スマートフォン決済専用サイト」は、国税庁長官が指定した納付受託者である「GMOペイメントゲートウェイ」が運営する国税のスマホアプリ納付専用外部サイト。納税者が利用可能なPay払いを選択し、サイトの運営企業に納付を委託するかたちとなる。
国税庁では税務行政のDX化を推進する観点から、納税者がスマートフォンやパソコンを利用して「申告から納付までの一連の手続」を完了できる環境整備に取り組んでいる。その一環として、これまで複数あった「国税スマートフォン決済専用サイト」へのアクセス方法について、e-Taxを経由する方法に集約する。
2025年2月1日からは、納税者が「スマホアプリ納付」を行う場合、スマホ・パソコンからe-Taxを利用して申告手続きすれば、e-Taxを経由して「国税スマートフォン決済専用サイト」を利用できる。
ただし、「スマホアプリ納付」が利用できるのは、納付税額が30万円以下の場合に限られる。このため国税庁では、納付税額が30万円を超える場合「他のキャッシュレス納付手段(ダイレクト納付、振替納税、インターネットバンキングを利用した電子納付等)であれば一度で手続を終えることができ大変便利ですので、そちらをご利用ください」としている。なお、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成した際に出力されているQRコードは、25年1月6日から出力されなくなるので注意が必要だ。
国税は金銭で一度に納付することが原則だが、相続税や贈与税に限っては、額が大きくなることに加え、残された財産の現金化が困難な場合があるため、分割払いができる「延納制度」が設けられている。延納には原則として担保が必要で、国債、地方債、社債その他の有価証券、土地、建物、立木、自動車、船舶、機械などが担保として認められる。
税金の分割払いとはいえ、ローンであるからには当然ながら一定の利子が必要になる。この利子は「利子税」という、れっきとした税金の一種だ。類似の名称の税金として延滞税があるが、これは納付期限までに税金を納めなかったときに課税されるもので、利子税とは異なる。
さて、この利子の額を減らすためにも、毎回の支払いで予定より多く納めることは可能だ。そして利子税の異なるものが2つ以上あったときの充当の順序はあらかじめ決められている。真っ先に充当されるのは、動産などにかかる延納相続税額で、次が不動産または立木などにかかるもの、そして緑地保全地区内などの土地にかかる額で、最後が計画伐採立木となっている。ただし、納税者が特に指定すれば、この順序にかかわらず充当することができるので覚えておきたい。
中小企業庁はこのほど、中小企業等経営強化法に基づいて中小事業者が策定する「先端設備等導入計画」の6月30日時点での認定状況を公表した。4月からの3カ月間で1931件の計画が認定され、そのうち賃上げ方針の表明を伴う計画は1200件だった。制度が改正された2023年4月以降の1年間と比べると認定数の伸びが鈍化しているようにもみえるが、これから年末に向けて申請数が伸びる可能性は高い。
計画の認定を受けた事業者は、設備投資にかかる税優遇を適用できる。以前までは要件を満たせば最低でも償却資産税の負担が3年間にわたって半分になり、さらに市町村の裁量で残りの2分の1も免除されるというものだった。しかし23年4月以降、原則として「償却資産税が3年間2分の1」に限定され、実質的に減税額が半分となった。
しかしこれには例外があり、従業員に対して「賃上げ表明」を行い、賃上げ計画が自治体に認定されると、優遇幅が拡大されたうえで、優遇期間も延長される上乗せ措置が講じられている。具体的には、原則2分の1カットだった償却資産税が3分の2カットとなり、その恩恵を最大で5年間受けられるようになる。
3カ月間での計画認定数1931件は、前年度の1年間分の1万1120件と比べると積み上げのペースが落ちていることが分かる。賃上げ方針の表明を伴う計画の数1200件も、前年度の6709件のペースに届いていない。対象となった設備の台数と金額の合計は、前年度1年間分が5万1904台で5801億円(うち賃上げ表明を伴う計画が2万6255台で約3616億円)だったのに対し、今年度の3カ月間の時点では5963台で826億円(同3967台で514億円)にとどまっている。
ただし、この税優遇はこれまで、年末に駆け込みで手続きをするケースが多く“申請渋滞”が起きてきた。このため年末には、ほかの時期より認定が手間取ることも考えられ、最悪の場合、年内に認定が受けられず、設備投資計画そのものが来年に持ち越しになってしまう事態も考えられる。
新規事業や販路開拓、新商品の開発などの助けとなる補助金制度だが、実際の利用までのハードルはなかなか高い。厳しい条件を満たさなければならないものもあるし、要件を満たしていたのに気付かないうちに申請期間が終了していたということもあるだろう。何よりも中央官庁だけでなく様々な自治体が出す補助金にすべて精通するのは社労士や税理士などのプロでも不可能で、自社に合った補助金の情報をどこから仕入れるのか分からない社長さんも多い。
補助金のホームページをすべてチェックするのは大変だし、できれば大雑把に今どんな補助金・助成金が申請を受け付けているのか、自社向けの補助金にはどのようなものがあるのかを調べたい。そうした時には、中小企業庁の運営するウェブサイト「J-Net21」が使える。同サイトは中小企業向けの政策情報をまとめたポータルサイトで、そのなかの一つに補助金や助成金を検索できる「支援情報ヘッドライン」がある。検索時には、施策を実施している府省庁・都道府県・市区町村といった機関別や、支援内容、分野、業種、補助金額等それぞれの条件を指定して自社に合った支援制度を探すことが可能だ。
キーワード検索もできるため、例えば「補助金、製造業」などと入力し、さらに東京都の事業者を対象とした補助金、2024年11月以降に申請を受け付けているものといった風に絞り込んでいくことで、自社が現在利用できる可能性のある補助金がリストアップできるというわけだ。
国税庁は10月21日、「2023年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」を公表した。法人税、消費税、所得税、相続税の申告などの「主要7手続」でのオンライン利用率が順調に上昇しているという。
オンライン利用率は、申告総件数のうちe-Taxでの申告件数が占める割合で算出したもの。23年度の法人税のオンライン利用率は86.2%(前年度比1.3ポイント増)、法人消費税は88.7%(同2.9ポイント増)、所得税は69.3%(同3.6ポイント増)、個人消費税は73.5%(同3.6ポイント増)、相続税は37.1%(同7.6ポイント増)などだった。
24年度の目標利用率と最も大きな開きが生じているのは相続税。目標の48%と実際の利用率とは10.9ポイントの差がある。ほかの6手続きでは、目標との差が1.8~5.7ポイントにとどまっている。
消費税の課税期間は、個人事業者は1月1日から12月31までの暦年、法人は事業年度とするのが原則で、還付申告は個人事業者なら翌年の確定申告期、法人なら事業年度終了後2カ月以内に行う。
輸出業などを営んでいると消費税の還付額が大きくなるため、なるべく早く還付を受けたいと思うだろう。だが還付を受けられるのは申告からさらに1~2カ月ほど後になるため、事業年度の早い時期に大きな取引をした会社は、その段階で多額の消費税を納めているにもかかわらず、還付されるのは1年以上も先になってしまう。
こうしたケースに備え、少しでも早く消費税の還付を受けるための3つのポイントを押さえておきたい。
まずはインターネット申請だ。国税庁では紙の申告に比べて電子申告を優先して処理する方針を明らかにしており、1日も早い還付のためには申告方法の再考も検討したい。
次は、還付に関連する輸出関連の書類を申告と同時に提出する方法。税務署の担当者の手間を減らすことにもなり「心象も良いようだ」という声も聞かれる。
最後が、消費税の課税期間を短縮する特例を利用すること。課税期間は、税務署に届け出ることで「1カ月ごと」あるいは「3カ月ごと」に短縮できる。課税期間を1カ月にした法人が1月に取引をしたとすると、3月までに還付申告することになり、課税期間が1年の会社と比べて1年近くも早く消費税が還付される。課税期間の短縮を元々検討していたのであれば、還付も判断材料にして決断したい。